体外受精・顕微授精
体外受精・顕微授精について
なるべく早くお子様が欲しい、長年お子様ができない、卵管通過障害、
精子減少症、子宮内膜症の方などへ
体外受精
- ・卵巣から卵⼦を取り出し、体外で受精させ、⼦宮内へ戻す治療法です。
- ・本来の卵管の働きを体外で⾏っていく⽅法になります。
- ・タイミング指導や⼈⼯授精を4~5回行っても妊娠に⾄らない場合は、卵管機能障害などを疑い、体外受精を考えていきます。
- ・ほとんどの不妊原因を軽減、払拭できる治療であり、妊娠率も⾼く、最⼤限の治療法と言えます。
- ・1周期で受精卵を移植することができれば、30~60%の妊娠率が期待できます。

顕微授精
採卵後に卵⼦の中に精⼦を⼀つ顕微鏡下に注⼊して、受精させる⽅法です。
体外受精の流れ
01
採卵まで
- ・基本的には、⽣理が来た時点で⽅針を決めていきます。次の観点で決めていきます。 ⇒ ・薬をほとんど使わない⾃然周期の採卵か/薬を使って複数の採卵を⽬指すか ・すぐに移植したいか/凍結でよいか、など
- ・AMHなどを考慮、どの刺激がよいかなどもご提案します。
02
採卵

- ・卵巣で育った卵胞に針を刺し、吸引し、卵⼦を体外に取り出します。
- ・⿇酔の方法についても、ご相談のうえ決定します。
03
受精
- ・体外に取り出した卵⼦と精⼦とで受精をさせます。
- ・方法には次の2つがあります。どちらにするかは、ご相談のうえ決定します。 ⇒ ・卵⼦と精⼦を⼀緒の培養液に⼊れ、⾃然に卵⼦の中に精⼦が⼊るのを待つ通常の体外受精 ・顕微鏡下に精⼦を卵⼦の中に注⼊する「顕微授精」
- ・顕微授精について、当院では紡錘体を確認し、精⼦を強拡⼤するIMSI※1も⾏っています。
- ・良好な受精率が期待できる、ピエゾ※2を⽤いた優しい顕微授精も⾏っています。
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※1
IMSI; Intracytoplasmic morphyologically selected sperm injection 。
超高倍率で精子を観察し、良好な精子を選び、顕微授精に用いる方法です。 -
※2
ピエゾ:PIEZO-ICSI。先端が平らな針を使用し、細かい振動により卵細胞膜を穿破して精子を入れる手法。
卵子に与えるストレスが従来の方法より小さく、卵子細胞膜が脆弱などの場合に有効です。
04
培養

タイムラプスは、保険診療と併用して行うことができますが、先進医療となりますため医師とご相談ください。
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※タイムラプス培養器:培養中の卵を一定時間ごとにカメラで撮影、分割していく様子をモニターで観察する培養器のこと。
受精卵を培養器外に出すことなく成長観察が可能なため、受精卵への負担が軽減されます。
05
胚移植
- ・受精卵を⼦宮内へ⼊れる胚移植には、「新鮮胚移植」と「凍結胚移植(下記参照)」があります。
- ・状況により、採卵後すぐに移植しない⽅法などについてもご説明します。
- ・凍結の場合は、採卵の次の周期以降に移植となります。
06
妊娠判定
妊娠判定は、胚移植してから採⾎で⾏っています。
胚凍結について
- ・1回の体外受精で複数個の受精卵が得られた場合、余剰胚を凍結することを胚凍結と言います。
- ・胚凍結を行うメリットは次の通りです。 ⇒ ・多くの卵から受精卵を⾒て選択できる ・卵、受精卵を凍結できることで、移植の時期を柔軟に考えることができる ・凍結することで、副作⽤に対する安全性が⾼まる ・年齢が若いときに複数の受精卵を凍結できると、若いときの受精卵を2⼈⽬以降にも使うことが可能 ・妊娠率を上げる可能性がある ・移植⽅法の選択肢が広がる ・何度も採卵しなくても治療が可能なため、少ない採卵回数で治療できる
- ・複数の採卵をした場合、初期胚(採卵して2〜3⽇⽬の受精卵)での凍結と、胚盤胞(採卵して4〜7⽇⽬)での凍結を行い、どちらでも移植を⾏うことを⽬指します。
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・初期胚は「その後は⼦宮に育ててもらう」という考え⽅。胚盤胞は「体外で胚盤胞になった=よい受精卵と確認してから移植する」考え⽅です。
移植の時期を変えることで、結果が異なる可能性が生じます。
排卵誘発について
以下の場合に排卵誘発剤を使用することがあります。
・排卵がない
・ホルモンの状態が悪い
・排卵まで⻑い
・⻩体期が短い
誘発剤には、内服薬と注射があります。
内服薬: | 通常⽣理の3〜5⽇⽬から数⽇間服用します。 |
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注射 : | ⽣理の3〜8⽇⽬ごろから毎⽇、あるいは1⽇おきに⾏います。 ※⾃⼰注射もあり |
- ※注意:以下の2つの⼤きな副作⽤が伴います。
- ・多胎妊娠(双子、三つ子などの妊娠):⾃然で1% 、内服で3〜5%、注射で10〜15%の多胎率となります。
- ・卵巣過剰刺激症候群:卵巣が腫れ腹⽔が溜まり、⾎栓症などが⽣じる可能性があります。重症になると⽣命に関わるため、⼊院が必要となります。